「NHKのど自慢」出場レポート

 本サイト運営人Mak.Kは,2003(平成15)年1月26日に開催された「NHKのど自慢」川崎市の回に出場し,「夢伝説」(スターダストレビュー)で合格の鐘を鳴らすことができました。ここに至るまでの経緯,予選会や当日の模様などをできる限りレポートしたいと思います。

出場までのステップ

 どうしたらのど自慢に出られるか,まとめました。

  1. いつどこで開催されるかを確認します。NHKのホームページで1年間の開催地がわかります。自分の居住地,ふるさとに近い場所を確認しておきます。
  2. 約2ヶ月前に,主催する放送局(今回:横浜放送局)から要項が発表されますので,所定期日までに出場希望のはがきを出します。
  3. 応募が多いので抽選(今回:約1450通→250通)され,通ると予選会の案内が届きます。外れると外れの旨の通知が来ます。いずれの場合も開催の約2週間前に届きます。
  4. 放送前日に予選会があり,本番さながらに舞台で歌います。この予選を突破し,放送に出られるのは20組です。

はがきから戦いは始まっている

 予選会出場者は抽選で決めるとNHKは言っていますが,私は純粋な抽選ではないとにらんでいます。そこで,はがき抽選通過率100%(3回)の私が秘策(笑)を公開します。

選曲

 好きな曲を歌うのがよいのですが,のど自慢ならではのチェックポイントがあります。

  1. 比較的よく知られた曲を選ぶ・・・予選会では250曲を1つのバンドが演奏します。いくら楽譜があるとはいえ,マイナーな曲だと楽譜探しも練習も大変です。ですから,はがき選考の段階で楽曲による選別もされているのではないかと私はにらんでいます。有名なアーティストでも,c/wとかアルバム曲とかは選ばない方が無難です。今回の川崎市の回の本番の曲目ラインナップも,私が歌った「夢伝説」が最もマイナーでほかはよく知られた曲でした。
  2. 歌いなれている曲を選ぶ・・・カラオケではないので歌詞が出ません。1コーラスだけでいいですが歌詞を覚えておく必要があります。また,数百人の観客を前にして歌うわけで緊張感もあります。その点でも,歌っていて気持ちがよい曲を選ぶのがいいでしょうね。
  3. 歌い出しから40秒で勝負できる曲を選ぶ・・・予選会では歌い出しから40秒程度しか歌えません。サビが来る前のボソボソした部分だけで終わってしまうと不完全燃焼になりますから,サビが40秒以内に来る曲か,始めの部分だけ歌うんでも納得できる曲を選ぶことになります。
  4. 曲名が五十音順で遅い方がいい?・・・予選会は曲名の五十音順に進んでいくのですが,後半の方が予選突破しやすいという傾向があるようです。詳しくは予選を突破するには?で書きます。
  5. 正攻法かウケ狙いか・・・「おもしろい」とか「元気がある」とかいう理由で予選を突破できる可能性は大いにあるので,ウケ狙いなら徹底しましょう。

 私の場合,上記を満たすいくつかの候補曲がありましたが,最終的に「夢伝説」(スターダストレビュー)と迷ったのは「OH,MY LITTLE GIRL」(尾崎豊)でした。出だしから自分の声が通りやすい音域の曲なので,予選突破すれば合格の可能性が高いと思える曲だったんですね。よく知られているという点でも「夢伝説」よりはずっと有利でした。

 しかし,上記の2.と4.のポイントで決定的に「夢伝説」に分があり,特に歌いなれているという点を重視してこの曲にしました。あまり知られていない曲ですが,過去ののど自慢でスタレビは「木蘭の涙」「今夜だけきっと」などが歌われていた(こういう調査にタカケンさんのサイトが役立つのです)ので,曲目で落とされることはないとふんでいました。

 個人的には,大好きなミスチルで勝負したいんですが,サビまでの時間が長くてしかもサビまでは低音が続く曲が多いんですね。のど自慢向きの曲を出してほしいものです(笑)。

はがきの書き方

すでに競争率6倍を突破

 大都市ですからある程度競争率が高いことは予想していましたが,今回の応募が約1450通だったそうで,今回は特にはがきでダメだった方が多かったということです。居住地,曲目,記載不備などで落ちる方もいるでしょうから純粋に6倍ではないでしょうが,それでも予選会に出られるだけでも価値あることなのですね。

事前準備

ステージングを練る

 予選会では,歌だけではなくてパフォーマンス全般を審査されていると思います。そして本番でもそのパフォーマンスを期待されます。ですから,予選会を本番だと思って,振り付けにしても服装にしても完成した状態で予選会のステージに立ちたいと思うわけです。

 私は今回ウケ狙いではなかったので,基本的に歌唱重視でいきましたが,服装と立ち居振る舞いには気を遣いました。自分が舞台中央でTVに映る姿を想像して,それなりに映える服装を考えました。でも,私は地味な服しか持ってないし,服を選ぶセンスも乏しいし,背も低い(笑)。これをどうやって克服しようかということで,カラーコーディネートや放送関係に強い もな さんにいろいろ相談して,当初黒のジャケットにする予定だったのが一転,ベージュのジャケットの下に赤系のセーター(ジャケットに部分的に赤が使われていたのが引き金に)という,ふだんの私ではめったにチョイスしない色の服装になりました。赤といっても少し落ち着いた色なので,TV映り的にもギラギラした感じにならず,適度にパッとした感じが出てよかったかなと思います。忌憚のないアドバイスや調べ物をしてくださった もな さんには大大大感謝です。ありがとうございました。

 私はこのくらいの準備でしたが,ほかには,歌を歌いこんで歌詞をインプットする,振り付けをバッチリにしておく,ユニットで出場される方は歌や振りを練習して息が合うようにしておく,といったところでしょうか。予選会は入場自由で応援も派手にやってOKなので,周囲の方々は横断幕などの応援アイテムを用意したりするといいでしょうね。

予選会当日のスケジューリング

 もう1つ,事前にやっておかないといけないことは,予選会当日の動き方を考えておくことです。これ,けっこう大事じゃないかと思います。

 今回私の場合は,仕事を抜け出して参加という状況だったので,プランのしようがありませんでした(笑)。

予選会

オープニング

 2003(平成15)年1月25日(土曜日),私にとっては,印西市(千葉県),伊勢原市(神奈川県)に次いで3度目の予選会出場。川崎駅から歩くこと約10分,教育文化会館大ホールに到着。人口100万都市だけあって,過去2回よりも会場が広い。ここが満杯の状態で歌ったら気持ちいいだろうなぁとわくわくしながら会場入り。

 バンドの音合わせが終わり,矢島ディレクタが今日の段取りを説明。20番までの人たちがもう壇上の席に座る。そう,予選会では出番を待つ際,壇上の席に座り本番っぽさを体験できるのです。それにしてももう壇上に上げちゃうんだと思ったところで,のど自慢司会の宮川アナウンサー登場。場内が大拍手で一気にヒートアップします。さっきまでのもやっとした空気がいきなりピリッとするんですよ。いつも鳥肌が立つ瞬間です。

 のど自慢は今年で満57年(放送開始が昭和21年,終戦翌年ですよ),宮川アナが担当されてから満10年を迎えたそうです。恐るべき長寿番組,そして宮川アナも前任者が思い出せないくらいすっかりのど自慢の顔になられました。宮川アナの初回がここ川崎市だったそうで,川崎市10年ぶりで感慨もひとしおといったご様子。川崎はそんなに久しぶりなのか〜と,そのときはふ〜んというくらいでしたが,出場した今になって思えば実に幸運なことなのだなぁと思います。

 宮川アナの前説でいつもおなじみとなっているのが,応募がこんなにたくさん来てもうすでに出場する皆さんは選ばれた方々です!とやってボルテージを高めることと,合格の秘訣は私にもわからないのですといって笑いを取ることです。「大半の方は今日でおしまいです。どうぞご自分を出し切ってください。」審査基準が明確ではないのど自慢,でも毎回キラリと光っている方が選ばれているのは確かです。私の場合にはさわやかに楽しく歌うのだ,と心に誓うのでありました。

 ハイビジョンで放送する予選会番組(川崎市の回は2/7(金)深夜24:25〜27:00)のオープニングを収録し,いよいよ予選会がスタート。サイト「LOVE LOVE のど自慢」の運営人の あがりん さんも出場されるということもあり,始めの方30人ほど観ました。あがりん さんは歌詞に合った振り付けを入れていて,おもしろ枠でいける感じのキレはありました。放送をご覧になった方はお分かりと思いますが,本番出場のおもしろ枠が「NAI NAI 16」と「黄色いさくらんぼ」ですから,相手が強すぎたのが不運でした。正直言って,最初の30名はキラリと光る人が少なくて,その中で通ったのは「あんたの花道」を歌われた女性の方(本番では20番目に歌い見事合格)だけでした。この方は歌もお上手だし舞台がパッと明るくなるような華をお持ちの方でした。この時間帯ではずばぬけて素晴らしかったです。ただ,そんな感じだったので順番が遅かった私は「これは後半チャンスありだな」とほくそ笑んでいたのですが,笑っていられたのはこのときだけだったのでした。

自分の出番

 いったん仕事場に戻りまた会場へ行きました。少し早めに行けたのでカラオケルームで少しでも声出ししようと思ったのですが,3軒行って全部待ち(笑)。土曜の昼下がりにあんなに盛況とは読みが甘かったです。近くに公園などもなく,結局声出しできないままになりました。ちょっと不安でした。

 さらに,私が到着した200番前後から,続々光る人たちが登場。スタート直後の感じとは全然違っていて,誰が通ってもおかしくないようなステージとなっていたのです。「まつり」は3人の方が歌われたのですが,みなそれぞれ個性的で甲乙つけがたい感じでしたし,中年男性2人組の「桃色吐息」は無理せず自分のキーでハモっていてかっこよかったです。また,赤と青の和装で「浪漫」を歌ったおそらく高校生の2人組も,歌の上手さも含めていい存在感を出していました。ほかにも,きっと当落線上だった方々がひしめいていたはずです。のちほど記しますが,ま行以降の合格者が私を含めて7曲もあったんです。1人は86歳の優しきおじいちゃんですから特別としても,この時間帯のレベルの高さがおわかりいただけるでしょう。

 出番待ちのとき印象的だったのは,「眩暈」の女の子(本番では4番目に歌い見事合格)ですね。若いのにすごく落ち着いていて豊かな声の響きが素晴らしかった。「やっぱ好きやねん」の男性(本番では17番目に歌い見事合格)はフロンターレのユニフォームが鮮やかで,加えてすごく美声で私の大好きな声の持ち主でした。この2人は文句なく通ると思いましたが,ほかにも通りそうな方はたくさんいました。これは通らなくてもやむを得ないな,とにかく結果よりも自分の力を出すことを考えようと思うようになっていました。

 そうこうしているうちにあっという間に自分の順番です。
 「231番。夢伝説。」イントロは短くすぐ歌い出す。
“♪遠い・・・”第一声。腹から声は出ているが,ちょっと喉声で押してしまっている。本調子じゃない。しかも伴奏がけっこううるさい。原曲のアレンジは最初のほうは静かなのに。伴奏に埋もれまいとしてますます喉声になりそう。でも高音で声がかすれたら終わりだ。腹も喉も使え。開き直った
“♪どこかで出会「あ」ったことのある・・・”最初の最高音。何とか出ているが,かすれぎみ。“♪疑うこと「も」忘れるほど・・・”再び最高音。う,ちょっとヘロった。
 「ありがとうございました」事務的な女性のテープ声。おしまいの合図で次の方にすぐマイクを譲り,舞台を静かに下りた。宮川アナやディレクタから呼び止められることもなく,ふ〜っと息をついて席に戻る。本人としてはイマイチ,いやイマニくらいの出来だった。後ろの席の方から「上手かったよ〜」と声をかけていただきましたが,この時点で「ダメだろうな・・・」とあきらめていたのでした。

 当日もそうですし,ここ最近ずっとカラオケに行っていなかったので,歌は本調子とはいえないものでした。「この忙しい中で挑戦するのに無理があったか・・・。でも今回は上手い人たちがたくさんいるから,落ちても悔いはない。」と思いながら,念のため結果発表までいよう,そんな思いで,審査時間のイベントにはあまり目をくれず,襲ってきた眠気に身をゆだねていました。

結果発表

 6:30頃から結果発表が始まりました。あきらめてはいたものの,ドキドキするひとときです。24番,66番,108番・・・序盤はかなり飛ばされた。やはり後半有利の法則が今回も生きるのか。111番,113番(このあたり正確ではありません)・・・おっとこのあたりはけっこう呼ばれてるな。私がステージを見た方で通ったのは「まつり」から。

とこのあたりは印象が鮮明な方々が続く。立て続けにかなり呼ばれちゃったな。激戦だったから当然だろうけど,もう後1人2人じゃないのか,と思ったそのとき。

 「231番,夢伝説を歌われた・・・」あ,俺だ。あ,あれっ。呼ばれたぞ。やったーーーー! まさかの予選突破で,嬉しいというより驚いた。それが呼ばれた瞬間の心境でした。

 周囲の方に「おめでとう。頑張って。」と声をかけられ「ありがとうございます」と言いつつ足早に荷物を持って舞台へと上がりました。呼ばれると思ってなかったのでちょっと動きが遅くなり,予選突破者では私が最後に舞台に上がりました。私の後に呼ばれたのは民謡の方だけだったので,民謡を除くと私が最後に呼ばれたんですね。あの激戦の中よくひっかかった・・・これが偽らざる心境でした。でも何はともあれここに残った。いよいよのど自慢のステージに自分が立つ。そう思うと,予選会が終了となり,客が引けた後の舞台上でどんどん気持ちが高まっていきました。

予選を突破するには?

五十音順で遅い曲の方が有利?

 今回予選を突破した方の曲名の最初の文字を並べてみると,こんな感じになります。

 あ・・・・・き・・・さしす・そ・ち・・と・・・・・・・・・まみむめ・ゆ・・・・・・・・ (民謡除く19曲,太字は2曲突破)

 さ行とま行が強かったという形になっていますが,案外予選突破者はかたまる場合があることを示しています(前回の伊勢原市でも200番以降でこの現象がありました)。聞き応えのあるステージが続いた場合,審査員は直前の人にいい点数をつけたとすると次の人も同じくらい捨てがたいなと思ったとき連鎖的にいい点数をつける可能性はありますよね。自分の前にいいステージが多いとき「彼らよりも目立たなくては」と力むよりは「この時間帯,審査員はきちんと視てくれている」と思ってチャンスなんだと捉えたほうがよいでしょうね。私は今回の場合はちょっと力みが入ってしまったのですが,今振り返るとあの時間帯きちんと視てくれていたからこそ,自分の思いが伝わったのかな,と思っています。

 そして五十音順で遅い曲の方が通りやすいという私の中での法則は今回も生きたといえるでしょう。予選会は曲名の五十音順で進んでいくわけですが,今回,1〜100番(最初の100人)で2人しか通っていませんが,151〜250番(後ろ100人)で7人も通っています。今回は後半にいいステージが集中したので,結果としてそうなっただけだと思います。ただ,審査員側に立って考えてみると,最初の方は後のことを考えてどうしても審査が厳しくなるでしょうし,前の方と後の方で同じくらいの力の方が出た場合に,後の方がより印象が鮮明に残っていると思うんですね(なんせ4時間以上も審査しているわけですから)。出演者側からすると,最初の緊張した雰囲気の中よりは,ある程度いろんなステージを見てからの方が(待ち時間が長いというマイナス面を差し引いても)ベストパフォーマンスをしやすいのではないかと思います。選曲の際,基本はあくまでも自分がベストを出せるものをチョイスすべきだと思いますが,候補が複数あるような場合にはできるだけ五十音順の遅いものを選んでみるというのは,1つの作戦ではないかと思います。

性別・年代分布

若い中堅ベテラン
男性1539
女性54211
69520

 皆さんの年齢を聞いたわけではないので,私の主観で分類しています。これを見ると,中堅世代の男性,今回頑張りました。いつもなら若い男性が3組くらいいるものですが,今回は1人だけ(しかも民謡)。予選会でも私が見た限りで過去2回より自分と世代の近い男性が多いなぁという印象があったので,結果としてこうなったんだと思いますが,世の中的には一番頑張ってる世代ですから,やっぱりこうあってほしいものですよね。その意味では今回の出場者の性別・年代バランスはとてもよかったといえるんじゃないでしょうか。放送を見た方はその点でも楽しめたのではないかと思います。

 放送する側としては,この性別や年代のバランスは意識しているはずです。ですから,249組をライバルと思わずに,自分と同じ性別で年代の近い人とどう対抗していくかを意識する方が得策のように私は思います。ただ,予選会で自分と同じ性別で年代の近い人がどれくらいいてどんな曲で出てくるかはその場にならないとわかりません。よって,この点では手の打ちようがなく,やはり宮川アナの言うように「自分らしさを出す」ということに尽きるのでしょうね。

特徴を出す

 どうやって他人よりも目立つか。審査員に「この人をTVに出したらおもしろい」と思わせることができるか。いろんなやり方があると思いますが,今回の川崎市の回ではこんな方々が突破しましたので参考になさってください。

自分に合った選曲をする

 本番に出場したからって偉そうに書くな,とお思いかもしれませんが,この感想は私が予選会に参加したりふだんのど自慢の放送を見ていて,以前からすごく感じていることなんです。歌の実力がある,雰囲気もいい,という方は予選会でも大勢いらっしゃるのです。でも,歌が声質や雰囲気と合ってないってことがとても多いんですよ。特に若い世代で。きれいな声質の方がロックっぽい曲を歌ったり,逆にすごく特徴的な歌い方をするのにあまりにもスタンダードな曲(例えば「亜麻色の髪の乙女」とか)を選んだりとか。もちろん,その曲を歌うにはその方なりの理由があるわけで,それを云々しても始まらないんですが,出場を狙うなら「己を知る」ことが大切だと,今回出場できたからこそ痛感するんです。

 私の場合で言いますと,個人的にはノリのよい曲とかハードロック系の曲を歌うのも好きで実際よく歌ってます。でも,他の方から好評をいただくのはだいたいメロディアスな曲のときなんですね。なので,今回もメロディアスな曲を選びました。「歌いたい曲とウケる曲は違う」これは,新聞のコンサート評で,渋谷陽一という著名な音楽評論家が藤井フミヤを評した言葉なんですが,これは誰でも当てはまるのかなと思うんですね。

 この点で言うと,予選会参加者を含めてもベテラン世代はご自分に合った選曲をされるとつくづく思います。ですから,聞いていてとても気持ちがいいし,今までの生き様がにじみ出てくる部分もあって,歌に深みが生まれるんですね。予選会を見ていると,ベテランの方はみな出場してほしくなります(大げさじゃないです)。のど自慢はある意味自己表現の場でもありますから,若い世代の方々にはこういう面を見習ってほしいと心底思います。

予選会で遠慮しない

 今回の予選会でも何人かそういう方がいらしたのですが,歌い出しをうまく入れない,音程が合わないなどミスをしても歌い続ける方がいます。そうなってしまう原因として,前奏が原曲よりも省略されている,原曲では前奏がなくバンドのアレンジがわかりづらい,原曲とは違うキーでアレンジされている,などがあると思うのですが,自分が納得いかないと思ったら伴奏を止めてでもやり直した方がいいと思います。時々,歌に入りそびれた人に対して,バンドが演奏を止めてやり直しをし,そのときにはピアノの方がわかりやすい伴奏や指示を出してくれるのを見たことがあります。ですから,おかしいと思ったらすぐ歌うのをやめて「すみません。入りがわかりませんでした。」と断ってもう一度やった方がいいです。場合によってはピアノのところへ行って音程を確認してもいいと思います。もちろん,ある程度の長さ歌ってから止めるのは(予選会全体の進行の妨げになりますので)避けるべきなのは言うまでもありませんが。

 そうすることで審査員の印象は悪くなるかもしれません。でも,納得できない状態でパフォーマンスしても後悔が残るだけだと思うんですね。予選会も1つのステージイベントです。スタッフの皆さんは,参加者の皆さんにイベントを楽しんでほしいと願っています。ですから,そのあたり多少の融通は利かせてくれると考えて,ステージ度胸を持って臨んでほしいなぁと思います。

打合せ・リハーサル

予選会の後

 予選突破者の皆さんは,舞台から場所を打合せ場所兼更衣所のスペースに移動しました。楽屋ではなく,ふだんはロビーになっているスペースについたてを立ててそういうスペースを作ってありました。矢島ディレクタから,その日および放送当日の段取りの説明があり,その後宮川アナがあいさつをされました。「通常,生放送でも事前にしっかりとした準備があります。しかし,のど自慢という番組は,前日の夕方に出場者が決まり,翌日のお昼にはもう放送というきわめて特殊な番組です。皆さんの協力なくしては成り立たない番組なんです。」というようなことを話されていたと思います。

 その後,調査用紙が配布され,氏名,住所,家族構成,なぜその歌を選んだか,どうやって練習しているか,仕事や生活上の最近の話題など,果ては過去ののど自慢出場経験やTV番組出演経験まで書きました。その間に,ポラロイド写真を撮っていました。その写真の用途は顔を思い出すための確認用だというようなことを言われていましたが,おそらくポラロイド写真を見ながら出演順や座席順を決めていたんではないかと私は推測しました。それから,軽食と飲み物が用意されていました。サンドイッチ,から揚げ,プチトマトでした。

 調査用紙を書き終えた方からそれをもとに放送局の方と面接。私は(予選会で結果発表をした)審査員で一番エライ方と面接。調査用紙に基づいていろいろなことを訊ねられました。いろいろ手広く聞かれたので,どの話題が特に盛り上がったというようなものはなかったです。10分くらい話したでしょうか,面接が終了。

 面接が早く終わった方何人かで,舞台へ行き,ピアノ伴奏の方とキーや歌い出しの確認をしました。私は予選会のときも原曲キーでまったく問題なかったので,そのままのキーでお願いしました。ここでお願いすれば自分に合ったキーにできると思いますし,どのキーが最適か自分でわからなくてもピアノの方が最適なキーを見つけてくれると思います。そのままピアノに合わせて1コーラス歌いました。私の曲は出だしが短く簡単な前奏しかないので,その場でピアノの方が2小節のパッとした前奏をつけてくださいました。アレンジがどんな風になるのかという楽しみもありつつ,この日の打合せは終了。遅い方は9時過ぎまでかかっていたと思いますが,私は8時半に解放されました。調査用紙を早く書いて面接を早く済ませればその流れで早く帰れます。コンディションをいい状態に持っていくにはけっこうこれも大切かもしれません。

放送当日:〜エンディング練習

 2003(平成15)年1月26日(日曜日)。朝8時集合。私は7時45分頃に会場に着くと,なんとすでに観客の方々が20人近く寒い中並んでるではないですか。座席券との引き換えは10時のはずなのに,なんと熱心な・・・と驚きました。打合せ場所にはまだ2人くらいしかおらず,私は本番の服装に着替えてスタンバイ。8時までに20組の方々無事集合(突然の身内のご不幸などのアクシデントがなくてよかったです)。矢島ディレクタがこの日の流れを説明した後,宮川アナが挨拶。朝の静かなテンションが,宮川アナの煽りトークによって否応なく高まっていきます。

 笑いを交えつつプレッシャーをかけつつの楽しいあいさつで,皆さんの気分もうまい具合にぼぐれつつほどよい緊張感に包まれていきます。このあたりの煽り方は,アナウンサーを夢見た私としては見事なものだなぁと感動。

 あいさつが終了し,いよいよ曲順発表。このときはじめて自分が歌う順番がわかるわけです。全20曲の順序については本番の模様のところできちんと記すことにして,私の順番が15番となりました。早めと遅めは嫌だなぁと思っていたので,ベストポジションだと思いました。前後を女性デュオに挟まれるという形で流れ上メリハリもつきそうだし,この順番は私の気持ちをかなり楽にしました。

 そして舞台へ移動してリハーサルです。まず舞台上の座席の発表がありました。この席順はスタッフの方で決めたものでした。曲順とは無関係で,どのようにして決めたのか特に説明はありませんでした。ナイスだったのは,杖をついたおじいちゃんの隣に介護士の男性が座り,リハや本番での介添役をやるという配慮がなされたことでした。おじいちゃんと介護士が出場者として居合わせたのは(それを考慮して予選の選考をしたはずもなく)単なる偶然で,このあたりが視聴者参加番組の面白さかなと思いました。私は後ろの席の(客席から見て)左から2番目だったので,出番以外でもちょくちょくTVに映ってたと思います。そういえば,ゲスト歌手の席が出場者の席と同じなんですよ。「眩暈」の女の子なんて三ちゃんの隣ですからねぇ。こういうところにも,出場者が主役なんだよ,という配慮があるように思いました。

 次はオープニング・エンディングの舞台上の並びを決めました。これは座席順を基本にその場で決めていきました。そして中央を境目に列を2つに分け,下手(左側)から入ってくるグループと上手(右側)から入ってくるグループに分かれました。私は後の列の一番左になったので,下手から入ることになりました。その後2回ほどオープニングの入場の練習。前後の感覚が空かないようにできるだけ詰めて入場する,とか,舞台上で並ぶときは後の列の人もできるだけ前に詰めて並ぶ,などTV映りを考慮した具体的指導が入ります。客席で見ていた宮川アナからは「練習でこれだけ元気がいいのは珍しいけど,でもまだまだ足りないよ〜」と煽りのコメント(笑)。次はエンディングの練習。ここは段取りはそれほど複雑なものではなく,むしろ時間との戦いという感じでした。合格者は人の間をかき分けて出てきてください,というような時間短縮を意識した指導。

放送当日:歌リハーサル

 いよいよ歌のリハーサル。このとき時刻はまだ9:15頃だったと思います。ここでのポイントは,自分の紹介が始まったらすぐに席を立って舞台中央へ行く,そのとき小走りするくらいがTV的にはよい,マイクは宮川アナから受け取り宮川アナへ返す(共演者はマイクの置き場を使う)というところでしょうか。私はもともと小走りで登場しようと決めていたので,そういうものかと妙に納得。登場→歌→退場の流れを含めて練習。リハーサルの冒頭くらいにゲストの水森かおりさん登場。客席で出場者の歌をずっと聞かれ,ほとんどの歌を一緒に口ずさんでおられました。

 予選会で聞いていない方の歌をここで私は初めて聞いたわけです。顔と曲目は曲順発表のときに結びついていたんですが,例えば「しゃぼん玉」ってまさかこのベテランの方が長渕剛じゃないよなぁ,と思ったらそのまさかだったり,17歳の男子高校生が普通の格好で民謡ってのはかっこよすぎ〜,と感嘆したり。「NAI NAI 16」や「黄色いさくらんぼ」の振りもここで初めて見て大笑い。キレあったもんなぁ。それにしても皆さん上手。これが本番だったらみんな合格かってな勢いでしたよ。その中で一番緊張していたのは「地上の星」の女性。「153番。地上の星。」とやって大爆笑。それ,予選会の番号ですよ! もちろん本番では間違えませんでしたが,席が隣だった私は,本番で送り出すときに「がんばれ。18番だよ。」と声かけたんですよ(笑)。

 私にとってリハーサルは貴重な声出しのチャンスでした。高音の曲なので歌声の調子を絶好調に持っていかないといけないんですが,このリハがこの日の初声出し。全然声がノってこないんですが,腹筋を使うことだけを意識して歌いました。伴奏のアレンジが予選会のときよりも原曲に近い感じに仕上がっていてビックリ。Aメロの繰り返しで少しドラムが強くなるあの感じが再現されていて,歌っていて気持ちいいのです。昨日から今日で修正かけたのかとバンドの仕事ぶりに感動しました。ところが,つけてくれた前奏が前日と違っていたので,その確認を含めてもう1度歌うことができました。結局1コーラスを2回。1回しか歌わない方,2回歌う方,2回目も出だしだけで終わる方などいろいろだったので,できれば2回歌いたいなぁと思っていたことがかない,いい発声練習になりました。

 皆さんの歌を聞きながら,ギャラリーの振り付けをつけていきました。特に誰が音頭をとるわけでもなく,自然とこの振りかなって感じでついていきました。その中でもさりげなく振りを編み出していたのは「涙そうそう」の女性,「未来予想図II」の女性,そして「黄色いさくらんぼ」の3人組でした。そうやって徐々に出演者の間の連帯感みたいなものができていったと思います。

 皆さんの歌の間に,宮川アナは出演者とトークの打合せをしていきます。席を外して別のところでかなり長い打合せをした方もいたようですが,私は席に座ったままで「高い音だから後で練習とかして,本番で力出し切ってね。」というような励ましの言葉をいただき,トークに関しては打合せなし。食いつくネタがなかったのかな〜と悟る(笑)。ほかには,メロディを間違って覚えてる方に対して,後でディレクタをつけて練習してはどうか,というようなサポートもされていました。キー合わせといい,テクニカルな部分でもけっこういろいろ配慮してくれているという印象を持ちました。

 皆さん歌い終わったところで,ゲストの音合わせ。出場者は観客席の前の方で見させてもらいます。まず,水森かおりさんが放送で歌う曲と放送後のステージの曲計3曲を歌われました。あたりまえのことですが,プロの歌は圧倒的な存在感といいましょうか,そういうものがありますねぇ。そして,次のゲスト北島三郎さんが登場。それまでまったく姿を見せなかった三ちゃんが舞台袖からすーっと舞台上に。自然と拍手や歓声が沸き起こる出演者たち。茶系のズボンにジャンパーという普段着でリハーサルを淡々とこなしていきます。最前列にスタッフらしき人が紙を持って座ってるぞ。あ,カ●ペだ(笑)。まぁ持ち歌多いもんなぁ,と妙に納得。放送後のステージでは,今回のど自慢で歌われる「まつり」と「山」を本人が歌うらしい。と,そのとき,「まつり」を歌う男性が舞台に呼ばれる。「後で一緒に歌おう」とのご提案。いいなぁ。音合わせのときも一緒に歌ってました。その男性はこの時点で大緊張モードに(笑)。「山」を歌うおじいちゃんも舞台に呼ばれ,やはり一緒に歌うことに。でもこのおじいちゃんは音程やリズムはめためたなので,どうやってノせていくか,歌を聞きながら三ちゃんは思案している様子。

 音合わせが終わり,カメラリハーサルということで,オープニングとエンディングの本番さながらの予行演習をして,リハーサルは終了。10:50。宮川アナから「とにかく本番は楽しんで」というお言葉。それを言われずとも,すでに出場者の皆さんはこの場を楽しんでいる様子でした。舞台から打合せスペースに戻る途中のロビーには大勢の人がごった返していて「がんばってね」などのお声もかかる。いよいよだなぁという雰囲気になってきました。

本番直前

 けっこう豪華なお弁当が出されたのですが,私はさほどお腹がすいていなかったので,少しだけ口にしつつ,いろいろな思いをめぐらせていました。

 予選会の出来は自分で納得できるものではなかったし,今日のリハーサルも気持ちよく歌えてはいるものの手ごたえを抱けずにいました。TVから聞こえる歌声は実際よりずっと下手に聞こえるし,高音は特にアラが目立つ。目立ったエピソードもない中で,合格しなかったらTVを見ている人からは「この人,なんで出ることができたんだろう?」と思われるに違いない。それは悔しい。それにこの時間を迎えるにあたりいろんな人の協力があったし迷惑をかけた部分も少なからずあった。合格しなければそれがすべてムダになってしまう。なんとしても合格するんだという強い気持ちが生まれていました。

 一方で,リハーサルが終わって打合せスペースに集まっている頃には,出場者の間になんともいえない連帯感ができていました。みんな合格する力は持っているから,優劣をつけることはあまり意味がない。ここに参加して歌えるだけでも幸せなことで,自分のことよりもみんなを応援することが大切なんだと思う気持ちも芽生えていました。

 この2つの思いが融合して,「とにかくベストを尽くそう。結果は二の次だ。」という無我の境地に達したような気がしました。こういう心境になることってめったにないですよね。私はこのときすごく幸せでした。ベストを尽くすには,少しでも発声しておかなければ・・・少ない時間で気になるところをチェックしながら発声をしていました。最高音のところがどうしても引っかかっていたので,“♪出会「あ」った”のところはファルセットで逃げ,次の“♪疑うこと「も」”のところをきっちり出そうという作戦をこのとき決めました。テクニカルなチェックをして,後はイメージトレーニング。たくさんのお客さん,歌のスケールの大きさ,TVカメラを意識してTVの向こうにいる大勢の人に伝えるように歌う・・・。このときばかりは1アーティストになりきって,気持ちを高めていきました。

 私の周りでも,練習や確認をしている方々がいました。「未来予想図II」の女性はきれいな声でメロディをたどり,「東尋坊」の女性はヘッドホンステレオで原曲を聞き直し,「やっぱ好きなねん」の男性はストレッチで体をほぐし,「島歌」の女子高生2人組はハモリの確認。皆さん思い思いに本番までの時間を過ごしていきました。

 12:00。会場では宮川アナの前説が始まりました。場内笑い声が響き渡っていて,たくさんの観客がいることが伝わってきます。後方の扉が開かれ,出場者は中央の通路を通って観客の拍手を浴びながら舞台へと進んでいきました。このようにして出場者は放送前に観客の皆さんにお披露目されます。ほんとにすごいお客さんの数で,席はびっしり埋まっていました。出場者が舞台袖へと下がりあと3分くらいというときに,誰かがパーッと袖から舞台へフライング。なんと三ちゃんだ(笑)。リハの感じではそんなことする雰囲気じゃなかったのに,フットワークの軽さが重鎮らしからぬ感じだ。ひとしきりリラックス。

 そして,いよいよ本番を迎える。 「はい,5秒前・・・」

本番

 カーンカーンカーン カンカンカンカンカンカン・・・

 おなじみの伴奏がなり,ついに本番がスタートしました。始まるとなぜか無性に楽しい。お客さんが楽しげに拍手をしているのを目の当たりにすると,自然に顔がほころんでくるんです。TV放送だという意識はさほど強くなかったです。時間の進行に厳しいイベント,という感じで,緊張感はまったくといっていいほどありませんでした。どうなるのか楽しみ,という思いが強かったですね。「出場者の皆さん,今日も元気に歌いましょう!」お決まりのかけ声に「オーッ!!」と応えて席に着きました。川崎市の紹介が終わり,いよいよパフォーマンスの始まりです。

1番「NAI NAI 16」

 中堅世代の男性3人組,岡野さん,太刀川さん,野田さん。振り付けは完全にオリジナルをコピー。「DVDを購入してガラス張りのスタジオで3日間練習した」とはご本人たちのインタビューでのコメント。いかにも素人なんだけど振りのキレはけっこうすごかったですよ。いわゆる盛り上げ枠・トップバッターとして盛り上げてくれました。振りにばかり目がいってしまいますが,実はちゃんとハモっていたんですよね。歌の基本もきちんとしていました。シブがき隊('80年代前半に活躍した布川敏和,薬丸裕英,本木雅弘の3人組)をチョイスするあたり世代だなぁという感じで,私も席で一緒に歌ってました。3人とも独身だという話はリハーサルでも全然出なくて私も本番で初めて知りました。けっこうエピソードはリハーサルでは封印されてるんだなと思いましたね。

2番「好きになった人」

 ベテラン世代の女性,新藤さん。紺地のお着物に白色の帯で都はるみを歌うというのは,この世代ならではのスタイルです。のびやかな高音が見事で,緊張をまったく感じさせない歌唱は,リハーサルよりもよかったのではと思うほどでした。1コーラスを途中で切られずに歌い切ることができたのは,順番が早かったというだけでなく,審査員が合格にすべきかどうかを迷っていたのでは?と後になって思いました。ベテラン世代はご自分に合った選曲をされると(一度上の方で記しましたが)あらためて実感しましたねぇ。

3番「まつり」

 中堅世代の男性,小山内さん。介護士の方で,仕事着である白衣で熱唱。でも相当緊張されていたようですね。三ちゃん本人を目の前にして,って部分ですでにリハーサルの時点で緊張していたようですし,マイクの握りとか声の調子とかからもそれがうかがえました。小山内さんの実力はこんなものではない,ということはあえて言うまでもないことと思います。まぁでも,歌手本人の前で歌えるというのはのど自慢ならではでしょうし,こんなことは一生に一度あるかないかですから,そのステージに立てたというだけでも嬉しかったことでしょう。歌い終わった後も,三ちゃんものど自慢出場では鐘2つだった,小山内さんも三ちゃんと同郷(北海道),新婚4ヶ月で応援席の奥様も映り,三ちゃん忘れられてると宮川アナにつっこまれ,とトーク面でもおいしいところを持っていきました。

4番「眩暈」

 今回最年少の高校2年生の女の子,伊藤さん。歌っていないときはどこにでもいそうな普通の雰囲気の子(表現気に障ったらごめんなさい)なんですが,歌い始めると何とも言えない存在感を放ちます。予選会でも群を抜いた歌唱力と存在感を示していましたが,本番も緊張はまったく感じさせない見事な歌いぶりで合格。ちょっとだけ話ができたんですが,バンドのヴォーカルの経験もあるそうで,なるほど度胸あるはずだと納得。この日最初の合格で,出場者の皆さんも大いに盛り上がりました。合格の喜びをチアリーディングダンスで表現した彼女はダンス部の部長さんでもありました。

5番「東尋坊」

 この日のゲスト水森かおりさんの曲。この曲は予選会で9人に歌われた,ゲスト枠としても大人気曲。それをくぐりぬけての本番出場ですから,実力は当然なのでしょう。黒いワンピースで一見天童よしみを思わせる風貌の中堅世代の女性,志村さんはリハーサルでは水森かおりさんに「私より上手く歌われると困ります〜」と言わしめるくらいでしたが,その実力を本番でも示してくれました。文句なく合格。本番でも水森かおりさんは同じコメント(笑)。社交辞令ではないことを物語っていますね。老人大学(ってところがあるんですね)でご老人と一緒に歌っているという彼女は,演歌系のレパートリー広そうです。

6番「無法松の一生」

 この日が71歳の誕生日という男性,網谷さん。大工職人っぽい格好は人力車夫を表現されていたそうです。無法松の一生という映画で主人公の無法松が人力車夫で太鼓が得意という設定だったそうで,バチをもっていたのはそういうことだったのですね。このエピソードは放送後に網谷さんの娘さんがラボノートに書き込んでくださいました。歌は,この世代でこの大人数の前とは思えぬ堂々たる歌いっぷり。たしかにかなり緊張されていたようで,娘さんも本番終了後に「ほんとはもっと上手いんですよ」とおっしゃっていましたが,そうだろうと私も思いました。2日間に渡り何度かお話させていただきましたが,とにかく実直な感じの方で,自分がのど自慢に出るのは夢のようだとおっしゃっていましたし,本番終了後真っ先に私に声をかけてくださったのも網谷さんでした。その実直な人柄が歌にも表れていてとても清々しい思いがいたしました

7番「涙そうそう」

 中堅世代の女性,佐々木さん。昨年お母様がのど自慢に出られ,その翌日娘さんが合唱コンクールでNHKホールの舞台に立ち,今度は私だという気持ちで参加されたとのこと。この世代に比較的多い,芹洋子を思わせるのびやかな歌声がこの曲にマッチしていました。この曲は昨年のロングヒットで,紅白で歌われたことでさらに知名度が高まったわけですが,NHK的にも「地上の星」や「大きな古時計」と並んで,選んであげたくなる曲の1つだと思います。でもそれを抜きにしても,メロディのよさやサビまでの時間の短さを考えるとのど自慢向きの曲だということは言えると思います。

8番「しゃぼん玉」

 地元で33年すし屋を営むベテラン世代(実は若いかも)の男性,伊東さん。板前さんらしく和服で登場。このいでたちで長渕剛はある意味反則技ともいえる意外性。しかも歌い始めるとちょっと長渕テイストが入っており,そうとう聞き込んで歌いこんでいる感じ。見事合格にはご本人も驚きのご様子。すし屋のお客さんが申し込んでくれたそうで,申し込んだ本人ははがき抽選で落選。かたや付き合いで出した方が本番出場&合格。人生はそんなものかもしれない,という宮川アナの言葉にうなづくばかりなのでありました。余談ですが,私が予選会に参加した2001年8月の伊勢原市の回でも長渕剛の曲がチャンピオンになったんです。横浜放送局は長渕好きなんでしょうか(笑)。

9番「さよなら大好きな人」

 高校3年生の女の子,工藤さん。昨年49歳で亡くなられた彼女の父親を思っての歌で,曲のテーマそのまんまのエピソード。このエピソードはリハーサルのときにも紹介され,出演者の女性陣はその時点でうるうる。本番でも三ちゃんから「お父さんに届いたと思うよ」というコメントが出て,前向きな中にもほろっとさせられました。歌は優しい声で丁寧な歌いぶり。Bメロで原曲はハモリが入るわけですが,今回お1人だったんでどうしてもそこの物足りなさはありましたね。花*花はハモリを前提に曲を作ってる感じがありますので。私は後の席で当然のようにハモリパートを歌っていたんですが,音を拾ってくれるはずもなし(笑)。でも,悲しみを乗り越えおとなしい中にも芯のあるいい雰囲気の女の子でした。

10番「正調刈干切唄」(民謡)

 17歳の男子高校生,松井くん。「民謡を習い始めて4年・・・」と宮川アナの紹介と共に普段着で登場すると場内からどよめきが。高校生といってもえなりかずきみたいな風貌だったらなるほど〜ってところでしょうが,いかにも今風でしかもかっこいいんです。以前は必ず民謡がありましたが,最近は1人もいない回が少なくない中で,この風貌での民謡は出色でしたね。歌声も素直で張りのある声が会場を包み,途中で拍手が起きるほど。しかし,民謡ということで審査基準が厳しかったのか,合格はならず。でもお客さんの拍手もあったし特別賞の盾ももらえたんで,本人には合格に値するいい記念になったんじゃないかと思います。本番後は他の女子高生出場者とメール交換や談笑をする,ごく普通の高校生でしたよ。

11番「黄色いさくらんぼ」

 中堅世代の女性で職場の同僚3人組,高見澤さん,北村さん,深田さん。黒いパンツにピンクのセーター,セーターにはさくらんぼの模様と,衣装としては狙いすぎてない適度な感じ。“♪わっかい娘が ウッフン・・・”とくる歌詞に,恥じらいを捨てた(笑)セクシー系振り付けがつき,文句なく盛り上がりました。このとき出席者の後列の人たちは立ち上がりこの振り付けを一緒になってやってました(前列の人たちもやろうとしたのですが,リハーサルのとき宮川アナから「前列までやるとうるさくなっちゃうから」とNGが出ました/笑)。3人のうち2人が独身というネタなど,画面だけ見ていると失笑系なんですけど,3人さんが(開き直りギャハハ系ではなく)ちゃんと分別ある方々だったので,楽しい感じになったんだと思います。打合せやリハーサルのときにも,皆さんに声をかけたりとか宮川アナの話に明るく反応してくださったりして,見知らぬ人たちが集まっている場の雰囲気をすごくよくしてくださったんですよ。私にも,予選の日のうちに「LOVE LOVE のど自慢に書き込んでた方ですよね」と声をかけてもらい,すごく気が楽になりました。3人さんがいらしたからこそ,本番も和気藹々いい雰囲気でできたんだと思います。

12番「未来予想図II」

 若い世代の女性,久保田さん。曲名の「II」(2)を言いながら指を頭上に上げる動きはかわいらしかったですが,番号を言い忘れたあたりに緊張が見え隠れ。いわゆる実力者がスタンダード曲を歌うケースで,私は実力が表に出にくくて評価が厳しいのではないか,と思っていました。ですから実力どおりに合格が出たときはほっとしました。Aメロしか聞けなかったのがとても残念ですが,のど自慢ではこれも仕方ありません。サビも皆さんにお聞かせしたかったですが,予選会やリハーサルでは見事な歌いぶりでした。おばあちゃんが92歳の誕生日。お孫さんからの歌のプレゼントとなりました。

13番「山」

 86歳の今回最高齢のおじいちゃん,稲葉さん。杖をついてゆっくりと歩きます。三ちゃんすかさず脇に寄り添う。出だしが思いっきり早くて三ちゃんズッコケる(笑)。脇で三ちゃんが出だしを教えてあげると,すっと歌に入る。リズムも音程も合っているときはよく合っているんですが,ズレるときはどんどんズレる(笑)。最近ののど自慢は歌も上手い“スーパーご老人”が出場されるケースが多いのですが,久々におじいちゃんらしいおじいちゃんの登場となりました。品がよくいつもニコニコしている稲葉さんは出場者の皆さんからも愛されていました。

三ちゃん「今年80・・・いくつ?」
稲葉さん「87歳」
三ちゃん「俺もすぐ追いつくからな」(笑)
宮川アナ「お酒がお好きだそうで」
稲葉さん「よくご存知ですね」(場内大笑)
宮川アナ「毎晩何合くらい飲まれるんですか?」
稲葉さん「1合くらいかな」
宮川アナ「お嫁さんによると3合くらいっておっしゃってましたよ」(笑)

 こういう会話で味が出るのはさすがですね。この御歳で「山」という北島三郎の中でも難しい曲を人様の前で歌おうという心意気がすごいことです。本番後の打合せスペースにはお花がいくつも届いていて,人柄の良さをあらためて感じました。

14番「サンキュ.」

 若い世代の女性2人組,大久保さんと永留さんは大学時代のお友達。この曲は本サイトでもハモリ譜を紹介しているようにハモリの綺麗さと難しさで有名なドリカムの曲。画面左側の子がメインを,右側の(ちょっと長谷川京子に似てる)子がハモリを担当。ほぼ原曲に忠実なハモリをつけていて,メロディに関してはこの曲で出場するだけの力がある見事なものでした。ただこの曲は序盤メインの音程が低いので音量的にハモリが目立ってしまうという罠があるんですね。お2人もそこにハマってしまったのがちょっと悔やまれます。ああいう広いステージで音量バランスを合わせるのは至難の業だということがよくわかりました。でも「サンキュ.」がよく似合うかわいらしいお2人でした。

15番「夢伝説」

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 0:41。いよいよ私の出番が来ました。特別緊張もせず,自分であって自分じゃないみたいな感じですーっと舞台の中央に立つ。曲名を元気にではなく落ち着いた感じで言う,最初は少し見上げて歌う,というのはいずれも予定どおりの演出。なんだろう?って思わせたくて小細工しました。

 “♪遠い昔のことさ 夢で見たんだ 燃える空に包まれて・・・”

 この歌詞のイメージで少し見上げた感じで歌ったんですが,放送ではこのとき正面カメラではなく下の方のカメラから写していたので,不自然なまでに上向いてる(笑)。こんなふうに裏目に出たりもしましたが,これだけのお客さんの前で歌うのは初めて,しかもそれがTV全国生放送でしょう,楽しかったし幸せでしたねぇ。もうそこにいるだけで幸せだという気分になっていて「鐘の結果はどうでもいい」と無心の境地に達したときに合格の鐘・・・。ほんとにこれは嬉しかったです。ふだんの私をよく知ってる方は「ずいぶん本気で喜んでるな」と思ったに違いないでしょう(笑)。ここに書いたような経緯をたどったので,もぎとったというより“授かった”合格だったんです。合格したら言おうと思っていた「ネットのみんな,応援ありがとう」という言葉は言えましたが,ほんとは「もな さん,タカケン さん,やったよ〜」も言おうと思ってたんです。さすがに時間がありませんでした(笑)。

16番「島歌」

 女子高生2人組,大川さんと小林さんが制服で登場。合唱コンクールでやった曲の2人バージョン。ネーネーズが歌ったらこんな感じかな,という張りのある歌声が島歌のムードをよく表していたと思います。緊張してる感じもなくて,聞いていて気持ちよかったです。途中,2人でアイコンタクトをした後自分の手を耳に当てるしぐさをしていましたね。ちょっとした振り付けのように見えたのでうまいなぁって思ったんですが,こういうふうにすると自分の声がよく聞こえるんですね。2人で歌うときには相手につられることもありますから,この作戦はいいなぁと思いました。原曲は男性バンドが歌っていますが,性別関係なく好きな歌を歌うのがいいですね。本番ではキーはちょうどよい高さにしてくれますので。

17番「やっぱ好きやねん」

 水色が鮮やかな川崎フロンターレのユニフォームで登場の中堅世代の男性,小野口さん。やわらかくていい声。予選会で聞いたとき私はファンになってました(笑)。サビまでが長いので本番ではその直前まででしたが,間違いなく合格という歌声でした。合格したときにはサッカーのゴールシーンぽくひさまづいてのガッツポーズ。背番号が「勝」という漢字なのがおもしろかったです。今年こそJ2優勝・J1昇格を,というのは地元の悲願ですよね。本番終了後彼と少し話ができました。予選会ではふつうにユニフォームを着ていたのですが「FUJITSU」の文字があんまり堂々としているのでNHK的にちょっと問題ということで,彼が自主的にタオルを持参し首にかけて文字を目立たなくしたんです。「Frontale」の文字のユニフォームは一般人には貸してもらえなかったそうです。ネットの話をしたら,このサイトを見つけてくれてラボノートに書き込みもしてくれました(「17番」という名前で書き込んでくれたのがそうです)。私は彼がチャンピオンの可能性もあるなぁと思っていましたし,彼も狙っていたんではないかと思います。川崎市外在住者にとられたのは確かに残念でした。何年先かわかりませんがリベンジしましょう(笑)。

18番「地上の星」

 中堅世代の女性,松原さん。彼女は歌い方がすごく特徴的で,ビブラートのついた低い音の響きが素敵なんです。ブルースとかジャズとかハマるんじゃないかなぁと思いました。そういう点から言うと,特徴的な声なのにスタンダードな選曲というのはちょっともったいないかなと個人的には思ったのですが,歌声の個性とNHK一推しの選曲が光ったんだと思います。予選会の日の打合せや本番中が隣の席だったのでいろいろお話しました。だんな様が中島みゆき好きで,彼女にこの曲で出ろとだんな様のご指名があったそうです。予選会の直後も予選通過に驚きを隠せない感じですでに緊張気味でいらしたのですが,リハーサルでも本番でも歌い出すと肝が据わる感じでかっこいい歌声を披露してくださいました。

19番「空に太陽がある限り」

 中堅世代(私より若いのかな?)の男性,大見川さん。スーツで登場。“♪愛してる(愛してる) とても(とても)・・・”と合いの手も楽しいこの曲は,けっこうストレートな歌詞だし楽しくてのど自慢向きですね。“♪君とぼくは 君とぼくは 2人で1人・・・”のところは指で2を作り自然と腕の振りがついて,結婚5年目,奥様が2人目のお子さんを妊娠中というシチュエーションにぴったり。幸せな家庭を築くサラリーマンがスーツで出場,というのは人口としては一番多い層ですから,それを代表するという意味でけっこう狙い目かもしれないですよ。

20番「あんたの花道」

 ベテラン世代の女性,若尾さん。予選会のところでも書きましたが,若尾さんはとにかく華がありました。歌も明るくてノリのよい曲ではありますが,舞台がパッと明るくなるんですね。この世代で歌いながらこれだけ華やかな雰囲気を出せる方はそうはいないと思います。しかも緊張しながらものびやかな歌声で見事に合格。正直これにはびっくりしました。まさに己を知るベテラン世代の底力を見た,そんな思いがいたしました。最後が合格という有終の美で,合計7人合格。予選会後半のレベルの高さがこういう形で出たのだろうと思いますが,その1人に加われたのは幸運であり誇りでもあります。

ゲストの歌〜審査発表

 水森かおりさんは,出場者も歌った「東尋坊」を熱唱。私は存じ上げてなかったんですが,2002年4月発売でオリコンシングルチャート最高27位のロングヒット中。のど自慢初出場ということで,水森さんにとっても思い出深いのど自慢になったことでしょう。「みずもりー」とか「かおりーっちゃん」とか男性のかけ声がとんでました。

 北島三郎さんは「北の男船」。小さな体なのに,すごいオーラを感じました。貫禄だけじゃなくて,ファンを大切にする心も持ち合わせてらっしゃいますね。紹介されるだけで会場からひときわ大きな拍手が沸き起こり,さすがというほかはありません。

 歌が終わると出場者がもう一度整列して,審査発表。特別賞は10番の民謡を歌った17歳の松井くん。以前は特別賞といえばおもしろいかご老人かと相場は決まっていましたが,最近はいろんな方に渡している感がありますね。今回もまさに彼しかいないでしょうという感じで,なんで合格じゃないんだと不満げだった観客も納得の受賞でした。

 チャンピオンは5番の「東尋坊」の志村さん。ゲストの持ち歌をあれだけきっちり歌われたのですから,実力どおりの受賞というしかないですね。実力が1枚図抜けていました。ただ私を除く他の合格者も実力は相当なもので,ふだんならチャンピオンがとれていてもなんら不思議ではなかったです。チャンピオンの選考に関して私は今回は非常に満足しています。

放送終了後のお楽しみ

 放送終了後30分ほど,会場の皆さんだけが楽しめるイベントがあります。まずはチャンピオンが記念として1コーラスを途中切られずに歌えるんです。出場者は舞台上の席で応援。このときの「東尋坊」が一番よかったのは言うまでもありません。逆の見方をすると,予選・本番を含めてどんなに頑張っても1コーラスしか歌いませんので,2コーラス目以降の歌詞を覚える必要はありません。

 続いて,ゲストお2人のミニライブ。出場者は舞台袖から見るというなかなかできない経験をしました。それぞれ2曲ずつ歌うんですが,このときは客席は暗くなり舞台にはスポットライトが当てられます。これを目当てに来られるファンの方もいらっしゃるんでしょうね。観覧は抽選に当たれば無料ですもんね。先に水森かおりさんが2曲。「緊張でパットがとれそう」なんておちゃめなトークも展開されていましたが,歌は妙なこぶしが少なく素直で厚みのある歌声。この日はオフホワイトのドレスで出演されていましたので,その点も含めてド演歌とは一線を画した活躍が期待できるのではないでしょうか。

 北島三郎さんの2曲は,出場者が歌った「まつり」と「山」を各々の出場者と一緒に歌ったんです。「まつり」では,介護士の小山内さんと最初は中央で一緒に歌っていたんですが,伴奏に入ると三ちゃんが小山内さんに何やら手で合図をしている。やがて2人が上手と下手に分かれて歩き出すと,スポットライトも2人に当たっているではないですか。リハーサルではこんなの全然やってなかったんですけどね。小山内さんはきっとスター気分で気持ちよく歌えたことでしょう。「山」では86歳の稲葉さんを舞台中央に座らせて,1コーラス目は一緒に歌い,2コーラス目は三ちゃんが1人で歌いました。稲葉さんを見て三ちゃんは自分の父親を思い出したようで,父親に関するエピソードを話していました。この2人には一生の思い出になったんではないかと思います。これほどまでにファンサービスをしてくれる方がほかにいるのかどうかはわかりませんが,これなら是が非でも出場してみたいですよね。

出場の余韻

記念品

 出場者が打合せスペースに戻ると,記念品として,ミニトロフィー(チャンピオントロフィーをすごく小さくしたようなものですが,ちゃんと金のひばりです)と直筆サイン色紙(ゲストお2人と宮川アナのもの)が配られました。合格者に対して特別のアイテムはありませんでした。つまり,合格者の特典は「名前が言えること」と「エンディングで紹介され前に並べること」であります。

 宮川アナがちょっと立ち寄られ「今日も皆さんのおかげで素敵な放送になりました。ありがとうございました。」というようなことを言われて,足早に次の用事に向かわれました。私がアナウンサーを夢見ていた頃は「ザ・ベストテン」か「ウルトラクイズ」の司会者に憧れていたのですが,これからは「のど自慢」も入れようと思いました(まぁ今からでは無理でしょうけれども/笑)。

 そうこうするうちに,めでたくお開きとなりました。「無法松の一生」の網谷さんの娘さんがいらして「LOVE LOVE のど自慢に書き込まれていた方ですよね。」と声をかけていただきました。17番の「やっぱ好きやねん」の小野口さんと互いの合格をたたえ合い,ユニフォームのエピソードとかを聞いたりしました。着替えに手間取り,帰り支度ができた頃には「山」のおじいちゃんと,高校生軍団だけになっていましたので,皆さんと軽く会話を交わしました。民謡の彼は私の合格をすごく喜んでくれました。容姿だけじゃなく性格も良さそうだ。急ぎ会場を後にすると,独身男性3人組が歩いていたので軽く挨拶を交わし,気分よく川崎の街を後にしたのでした。

放送後の反響

 ネットのカラオケ仲間には前日夜にメールを出しましたので,運良く受信した方&用事がなかった方には見ていただけました。ラボノートにもたくさんの応援・感想メッセージを寄せていただきました。運悪くメールを見なかった方や送り漏れてしまった方には申し訳なかったです。ほんとはもっと事前から盛り上げようと思っていたのですが,予選会も本番も仕事次第では欠席かもという感じもあったので,はがきが当選しても公表しないでひっそりとチャレンジしました。

 会社関係者や他の友達には全然知らせませんでした。2人くらいから「偶然見た」というメールをもらった程度でしたが,後で映像を見せたら,私がカラオケ好きと知っている人には大ウケ,知らない人には驚きの反応が返ってきました。

 出場者の方からもラボノートへの書き込みをいただきました。「無法松の一生」の網谷さんの娘さん,「黄色いさくらんぼ」の3人娘の中のお1人,「やっぱ好きやねん」の小野口さん,皆さんどうもありがとうございました。私もそのうち「しゃぼん玉」の伊東さんのおすし屋さんに遊びに行きたいと思っています。

あらためて振り返ると・・・

 TVに出てみたい,大勢の前で歌ってみたい,あわよくば合格の鐘を鳴らしてみたい,これらがいっぺんにかないました。しかも居住地の川崎市で。ほんとだったらもっと派手に喜ぶところですが,今は静かな喜びに浸っているという感じです。予選会に当日行けるかどうかも微妙でしたし,予選会ではあきらめてましたし,本番では結果を気にしない境地でしたし。ほんとうに無欲の勝利だったと思います。

 でも,ほんとうに自分が合格かどうかなどどうでもよくなるほど,のど自慢は自然に笑みがこぼれてしまう楽しい番組です。タカケン さんも書いてくださったとおり「参加することに意義がある」んです。特に今回はいいメンバでしたし,特別賞やチャンピオンの選考も文句なしだったので,後味も清々しかったです。この経験はまた味わってみたいなぁと思うのが自然というもので,ひとまず目標を達成しましたがこれで終わりとはいきません(笑)。こんなことにチャレンジしたいですね。

 というわけで,きっとこれからも近くの回には応募します。ライフワークになりそう。

謝辞

 今回ののど自慢出場にあたっては,いろいろな方の協力や支援をいただきました。厚く御礼を申し上げます。

 まだこれからものど自慢チャレンジは続けます。今度は一緒にチャレンジしましょう。